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    年画はすごいー三元喜報

    • 2018.07.07 Saturday
    • 10:08

     

    未曾有の豪雨が続いています。皆様がお住いの地域は大丈夫でしょうか。

     

    また、オウム真理教麻原教祖以下7名が処刑されました。

    事件が起こってから現在まで20数年。

    その年月の長さに、事件の重みと深刻さを感じます。

     

    このような気象異常は、地球規模の異変が原因なのでしょう。

    オウムに限らず現代のカルト宗教の興盛は、

    現代人の心の闇が、よほど深いなのでしょう。

    気象と宗教は異なった対象だけれど、

    私には、どちらも驕る人間に大自然という神が怒りを表明しているのだと、

    いささか感傷的に思うも、あながち誤りではないのでは・・・

     

    さて本題。今回は年画<三元喜報>

     

    三元とは、科挙の3種テスト首位合格者<解元・会元・状元>のこと。

    つまりこの年画は、

    三元及第の吉報が届くことを願ったもので、

    前回紹介した<五子奪魁>のような、科挙合格祈願年画。

     

     

     

    詳しく見ると、2童児が鵲(カササギ)をそれぞれ持っていますね。

    鵲の中文は喜鵲で、文字通り喜びを告げる鳥。2匹なので双喜鵲で喜びが倍に。

    また、2童女が龍眼=桂圓を掲げてますが、更に小宝船上にもあるので、桂圓は計3個。

    圓=元=yuanで、3個の桂圓と三元をかけてるのですね。

    背景には、ザクロ・橘・桃があり、それぞれ多産・吉・長寿を表しています。

    ちなみに、

    龍眼(=桂圓)はライチに似た果物でほんまに美味い!でもね、実が小粒なのが残念

     

     

     

    さて科挙とは?このブログでは何度も紹介してますが、再度復習。

    隋から清まで約1300年続いた、中国の超難関官吏登用試験。

    まず受験者の故郷で県考(テスト=考試)→府考→科考→ここで中央政府の試験となり

    郷試→会試→殿試に合格し、初めて官吏最下級役人=進士となるのです。

    殿試の合格率は3000倍。

    受験資格の14歳から、諸テストを落第せず殿試に辿りつくまで平均36歳。

    それでも、庶民にとっては唯一の出世への道。だから科挙合格祈念年画が多いのです。

     

     

       

                  五子登科

     

    科挙合格を願う五人の童子。

    この五人は五経=易・書・詩・春秋・礼記・・・の象徴。

     

               五子天官

     

    五人登科は、天官とその子供が描かれる<五子天官or五子門官>が一般的。

     

    中国道教では三官大帝を祀る信仰があり、三官とは天官・地官・水官のこと。

    地官は罪を許し、水官は災いを解き、そして天官は福を授ける神。

    その賜福天官大帝の五人の息子(義・侃・備・喜・厳)は揃って科挙に合格。

    そこで五人を五竜と称し、文門神になったのです。

     

     

     

    しかし過去の科挙より、現代中国の大学受験=高考はさらに激烈。

    まず、受験生2700万に対して、重点大学が88校しかない。

    しかも、テストは日本のような大学ごとではなく、全国統一でただ1度限り。

    ただ1度の機会なので、それにかける受験の凄まじさは日本の比ではない!

    それでも都市戸籍者ならまだマシ・・・

     

    中国の最大問題は戸籍。 

    中国国民は、農村戸籍(9億人)と都市戸籍(4億人)に分かれ、

    農村に誕生すれば、都市の居住権を得ても生涯農村戸籍。

    農村戸籍では、医療・福祉・教育・就職など全てに都市戸籍より不利益。

    農民=農村戸籍者というだけで、誕生した瞬間に差別と忍従が始まるのです。

    しかし。

    都市に居住権を得れば農村戸籍であっても、少なくとも都市の利益は得る。

    なので、若い農村戸籍者は何としても都市の居住権を得たい!

    その方法は、都市の重点大学の高考に合格し就職すること。

    ・・・就職して居住権を得ると、家族・親族も都市に住むことができる〜

    でも、高考の農民合格は、全体の2割と低く置きされており・・・

    それに。

    都市大学の学費は5000~1万元。しかし農村の年収は3000元。

    こんな年収では、義務教育を享受することさえも困難で、

    大学受験できることは、それこそ奇跡的なのです。

    それでも。

    農民が都市の大学を希望するのは、中国で農民であることは絶望だから〜〜

    都市戸籍を持てない凡その農民は、非合法の農民工となり、

    大都市への低賃金・重労働の出稼ぎしかなく、都市者との格差がますます広がるのです。

     

     

    昨今は、あまりに熾烈な中国の受験を諦め、日本に留学する若者が多い。

    ひと頃の就労目的のエセ日本語学校などではなく、東大・早稲田などの有力校。

    現在、在中留学生94000人の内、東大・早稲田生が5割を占めるほどとなっています。

    増える留学生に対して、問題もあるようですが、ただ言えることは、

    中国の学生は日本の学生より、はるかに真摯に真剣に勉学するということ。

     

    そして私は、農村の悲惨な状況と、

    都市者の農民に対する露骨な差別感と差別の実態も、多少は知っています。

    またそれゆえに、

    農民学生の都市大学合格願望と、それへの凄まじい努力も実見しています。

    なので2014年に、悪名高い農民と都市民を差別する戸籍法が改正されたのは、

    都市者からの反対など問題は山積みですが、まずは安堵です。

     

    五子登科・・・五人、つまり多くの中国農民の子供が、

           都市者と差別なく平等の機会を以って

           登科=高考を受験できることを、切に望むばかりです。

     

     

     

     

     

     

     

     

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